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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  伊藤計劃
出版社: 早川書房

  9.11テロ以降、テロとの戦いは激化していきます。先進諸国は厳格な個人情報認証を徹底化。個人の自由はほぼ消滅。そのような中でサラエボが核弾頭によってクレーターと化します。その瞬間、核爆弾を用いるのは許されざる行為であるという「縛り」は破壊されました。発展途上国では虐殺の嵐が吹き荒れます。米軍の特殊検索群i分遣隊(暗殺を実行する唯一の特殊部隊)に属すぼくはアメリカと「世界の正義」に邪魔な人間を次々と暗殺します。その対象として毎度登場するのが、謎の米国人ジョン・ポール。その男は虐殺のあるところには必ず現れます。ジョン・ポールとはいったい何者なのか。

  9.11テロ以後の世界を舞台にしたハードSF。

  様々なことを問う小説。「他人の命の上に成り立つ平和は平和といえるのか」というものが最も大きな問いかなぁと感じました。「戦争は啓蒙ではないか」といったかなりラディカルな視点も含まれていて興味深い。本当に考えさせられます。様々な小道具も魅力的(イルカ、鯨を殺し、彼らから取り出した筋肉が世界各地で機械に組み込まれている)。ハイテクの残酷さ、恐怖がきちりと示されています。

  伊藤計劃は、言語学、文学にも造詣が深いようです。散りばめられた様々な単語(カフカとか、罪と罰とか)には、にやりとさせられます。血に塗れながらも、うだうだと悩み続ける思索的な主人公はいかにも文学的。彼の先進国の人間らしい悩みには共感します。相対主義的な考え方に翻弄されつつどこへと向かうのか・・・

  ラストが予想できてしまったのだけど、それでもやはり面白い。少なくとも21世紀の日本SFの傑作とはいえます。もしかしたら「世界文学」級なのではないか。

  小松左京賞最終候補作。


自森人読書 虐殺器官
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