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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  サミュエル・ベケット
出版社: 白水社

  「どうにもならん」という一言から始まる戯曲。エストラゴンとヴラジーミルは、ずっとゴドーを待っています。いつまでも待っているのにゴドーは現れません。2人は靴を脱いだり、無意味なことを言い合ったり、通りがかったポッツォと問答を繰り返したりするのですが・・・

  現代演劇に大きな影響を及ぼした斬新な作品だそうです。不条理演劇の代表格。

  無意味で滑稽でシュールな会話が延々と繰り返されていきます。何かが起こるのかと思いきや、とくに何も起きません。そもそもゴドーとは何者なのか判明しません(ゴッドと引っ掛けているらしいけど)。何にも起きないし、なんだかよく分からないからこそ、些細な言葉を気にかけることになるし、様々なことを想像することになります。

  各所に自己言及性を帯びたセリフが散らばっており、変な気分になります。舞台において演じられている『ゴドーを待ちながら』とそれを見ている観客との間には、すでに何の差異も存在しないのではないか。一定のルールに縛られていた演劇さえも、曖昧な現実の中に乗り出していくしかなかったのかなぁ。大変だ・・・

  読んでいても、あまり笑えません。隔靴掻痒という言葉を思い浮かべます。なんというかすっきりしなくはないのだけど、別にどうということもないのでなんとも言いようがないのです。演劇になれば、それはそれで面白いのかも知れない。いつか誰かが演劇にしていたら見てみたいです。

  サミュエル・ベケットは、『モロイ』『マロウンは死ぬ』『名づけえぬもの』などの小説を書いている間に、力を抜きつつ『ゴドーを待ちながら』という戯曲を書いたのだそうです。それが歴史に残る戯曲となってしまったなんて凄すぎると感じました。

  白水社「ベスト・オブ・ベケット」。


自森人読書 ゴドーを待ちながら
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