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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  島田雅彦
出版社: 新潮社

  『優しいサヨクのための嬉遊曲』は島田雅彦の短編集。『優しいサヨクのための嬉遊曲』『カプセルの中の桃太郎』収録。

  『優しいサヨクのための嬉遊曲』
  主人公は千鳥姫彦という青年。彼は、反抗期の大学生。大学のサークル活動としてサヨク活動に関わっています。具体的には「社会主義の民主化」を実現するべくソ連の収容所の人たちの状況を改善しようとしています。一方では、美少女みどりに憧れ、彼女のお婿さんになりたいと望んでいるのですが・・・

  『カプセルの中の桃太郎』
  大学生クルシマは、自分の小さなペニスをいつも庇うようにしています。しかし、いつしか自分を「良い子」にしてしまった世間に対して戦いを挑むべく立ち上がるのですが・・・

  現実と架空が入り混じり、言葉遊びが跳ね回っている不思議な小説です(ちょっと『不思議の国のアリス』を連想)。『優しいサヨクのための嬉遊曲』は、妄想的な恋愛小説でありながら社会というものと対面するべく若者が奮闘する物語としても読めます。

  とはいえ、青年が成長したかというとそれは疑問です。そもそも今の社会において成長するということはいかなることなのかさっぱり分からないからです。この物語の場合、主人公は「愛」に気付くわけですが。

  一般に言われるようなイデオロギーではだめだけど、「愛」という一種のゆるいサヨク的なるイデオロギーによって自分の居る場所(具体的には家庭とか)から世界に向き合うんだ、と言う主人公には賛同したくなります。ただし、それによって本当に社会と向き合えるかどうかはいまいち分からない・・・ 結局のところ楽な道に逃げ込んでいるだけではないか、と言う気もするし、日本的な「空気」に呑みこまれかねないのではないか。


自森人読書 優しいサヨクのための嬉遊曲
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