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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  金城一紀
出版社: 集英社

  昔懐かしの映画とからめつつ、今を生きる「普通」の人たちの喜怒哀楽を描いた連作短編集。それぞれの短篇のタイトルも、映画からもらってきたもの。『太陽がいっぱい』『ドラゴン怒りの鉄拳』『恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルー・ロマンス』『ペイルライダー』『愛の泉』収録。

  『太陽がいっぱい』は、小説家を目指す在日韓国人と、ヤクザになってしまった在日韓国人との友情の物語。「小説家を目指す在日韓国人」というのは、多分作者自身ではないか(金城一紀は、日本国籍を持つ韓国系日本人)。なぜ彼が筆をとるのか、その理由が明かされます。

  『ドラゴン怒りの鉄拳』は、夫が自殺して一人になってしまった女性が主人公。彼女は長くひきこもっていました。しかし、ビデオ店で映画を借り、そこのビデオ店員の青年と喋ったりする中で、立ち直り、ある決意を固めます・・・

  『恋のためらい/フランキーとジョニー もしくは トゥルー・ロマンス』は、親とぶつかってばかりの男の子の物語。彼は、親から金を奪おうと画策する女の子にひかれていき、協力することになります・・・

  『ペイルライダー』は、バイクを飛ばし、間違ったことを嫌って闘うおばあちゃんの物語。彼女は、偶然出会った小学生の男の子の塞いでいた気持ちを解き放ちます。そして、その後かつての恨みを晴らすため、ヤクザとの闘いへと赴きます・・・ ほのぼのしたシーンと壮絶なシーンが横並びになっていて、とても不思議な感じです。

  『愛の泉』は、連れ合いをなくして元気をなくしたおばあちゃんを励ますために孫達が『ローマの休日』を大きな会場で見せてあげよう、と画策する物語。一番軽妙で、すんなりしていて読みやすいです。

  金城一紀という人は日常を描くのが上手いなぁと感じました。「普通」の日々というものを文字にするのはなかなか難しいことです。そもそも「普通」なんてものはないはずだからです。だけど金城一紀は、どにでもいそうな共感できる人物たちをうまく配置して、日常を描きだしています。あと、どこかにあるはずの裏社会、みたいなものが微妙にちらつくのも、面白い。

  2008年第5回本屋大賞ノミネート作(5位)。


自森人読書 映画篇
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