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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  古川日出男
出版社: 文藝春秋

  こういう小説、大好きです。

  語り手は、神の視点に立ってイヌに呼びかけます。それに応えて、いろんな時代を生きるイヌたちは各々吠えます。それらイヌたちの声を拾いながら、物語はどこまでも疾走していきます。犬の樹形図をたどりつつ、「戦争の世紀」20世紀の主に後半(第二次世界大戦後)を読み解いていく壮大な小説。かといって決して難解にはならないし、長大にもならないし、イヌを変に擬人化することもありません。

  イヌたちが、人の街をぶち壊していきながらも反撃を受けてしまう最後の場面は圧巻。

  読者にいろんなものを放り投げてくるような語り口です。面倒な説明は、かなり削られています。しかも歴史を語るときでもきっちりしてはいません。暴走していきます。かなり汚い言葉遣いとすらいえます。最初は読みづらいなぁと感じたけどすぐ慣れました。リズム感があります。歴史書みたいな難しい文体よりは、よほど入りやすいと思います。

  物語の面白さをどこまでも追求する『ベルカ、吠えないのか?』こそ、キャラ小説的、ライトノベル的なものに拮抗しえる作品の1つといえるのではないか、と僕は感じました(ライトノベルも面白いとは思うけど、こういう物語を大切にする小説も残って欲しい・・・)。

  豊崎由美が激賞しているのも頷けます。よくぞこんな物語が書けるなぁ、と感心するしかないです。数世代にも渡る人間のドラマというのは古くから存在します(聖書から始まっているわけだから)が、イヌたちの戦後史というのは斬新です。とにかく面白い。

  2006年第3回本屋大賞ノミネート作(8位)。


自森人読書 ベルカ、吠えないのか?
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