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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

作者:  湊かなえ
出版社: 双葉社

  娘を喪って学校を去ることとなった女性教師は終業式のHRの時、告げます。「愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」と。そして、ある「制裁」をくだして退職していきます。ですが、事件は終結せず、どこまでも負の連鎖は続いていくことになります・・・

  高く評価する人がいる一方で、激しく拒否反応を示す人も多い作品。面白いとは思うけど、僕は好きにはなれません・・・ 陰鬱です。「まとも」な人間が一人も登場しない小説です。

  心の暗黒面を描いています。母親の息子への偏愛、歪んだマザーコンプレックス、ゆがんだ憎悪、幼い悪意。しかし、どれもこれもそうたいしてものではなくて、やたらとみみっちい。ちょっとだけ常識の範疇から飛び出してしまった、というような感じ。ですがそれが効果をあげています。かえって、妙に生々しくてリアルなのてす。

  最後は、ある意味爽快。バーンと母(聖母崇拝)を吹っ飛ばしてしまいます。

  「ケータイ小説的」と言って否定する人もいるけど、それは全く的を射ていないのではないか。むしろ、湊かなえという人はかなり実力のある人だと思います。上手いし、読みやすいです。

  これは、完璧なエンターテインメント小説として捉えれば良いのだと思います。薬丸岳『天使のナイフ』みたいな社会的な問いを含んでいるわけでもないし。でも、正直、エイズですら道具にして物語を仕立て上げてしまうところや、「熱血」や「感動」や「正義」を蔑む作者の視点は好きになれないなぁ・・・ 凄いとは思うけど、誰かにおすすめしようとは思わないです。

  第29回小説推理新人賞、2009年第6回本屋大賞受賞作。どうしてこれが本屋大賞なのか・・・


自森人読書 告白
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