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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  井上靖
出版社: 新潮社

  北宋の時代、趙行徳という男が科挙を受けるために首都開封へ行きます。しかし最終試験・殿試の待ち時間に居眠りしていて、試験を受けられず、失格に。行徳は、とんでもない失態をしでかしてしまって茫然とし、ふらふらと首都を漂います。すると異国の裸の女が、豚肉と同じ扱いで売られているのと出くわしました。思わず行徳が彼女を買って助けると、彼女は見慣れない文字だらけの紙をくれて去りました。行徳は、それが西方の国家・西夏の文字と知り、「西夏の文字・文化を知りたい」と感じます。そして彼は、西方へと旅立ちます・・・

  中国西方の圧倒的で壮大な自然と歴史を背景にした感動の作品。色んなものに翻弄されながらしぶとく生きていく主人公が最後に果たすことは・・・ 彼の行く道が、敦煌という地から発見された膨大な量の経巻を巡る物語へと結びついていきます。フィクションなんだけど、きちりと史実を背景にしているので、ほんとにこんなことがあったのではないか、と思わされます。

  前からずっと気になっていたのですが、探すのが面倒でほったらかしに。ですが、読んでみたらあまりに面白くて、これまで手に取らなかったことを後悔しました・・・ 中国の歴史ものが好きな人間として失格だなぁ、という感じです。

  井上靖の文章が良いです。登場人物たちの心情をそこまで詳しく書きこむということはないんだけど、伝わってくるものがあります。西夏軍の先鋒を務める漢人部隊の隊長・朱王礼と、王族の末裔だということをやたらと誇る盗賊・尉遅光、そして行徳に玉の首飾りの片割れを渡したウイグル人の若い女。その3人を主な登場人物として物語はどんどんと展開していきます。


自森人読書 敦煌
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