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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  川端康成
出版社: 集英社

  20歳の一高生が、湯ヶ島、天城峠を越えて下田に向かう旅路の中で、旅芸人の一座と一緒になります。そして一座に属する可憐な踊子と出会い、なんとなく心を通わせるような通わせないような。とにかく学生は何かを感じるわけです。しかし、旅の中で2人は別れていきます・・・

  短編小説。

  不思議なほど、乾いた小説だなぁと感じました。なんだかみずみずしさに欠けているし、最後の涙だって爽やかなものだとは思えないです。「清らかで美しい初恋の物語」だというふうに褒めている人がいるけれど、理解できないです。まず妙に死を意識させる言葉/部分が多いところは気にかかります。

  そして、物語全体に満ちている旅芸人一座に対する差別意識も印象的。主人公が踊子に対して抱く感情は恋心なのか。彼は、踊子を金によって買うことができる対象として認識し、彼女が幼くて純真なことを意識しつつ、しかし隔たりを感じ、彼女の属する共同体の秩序(四十九夜)に添って行動することは拒絶し、去っていきます。

  主人公は「自分の死を容認し、女性と付き合って子どもを生むこと」を否定しているのかなぁ、と推理してみたのですが、どうだろう・・・ 違うか。

  日本流の奥床しさ・美しさが存分に発揮された作品だと評する人もいるけれど、そのように評しておくのが一番無難なのかも知れません。

  日本人として初めてノーベル文学賞を受賞した小説家・川端康成の代表作の1つ。6度も映画化されているそうです。しかもアニメにもなり、ラジオドラマにもなり、テレビドラマもなり、劇にもなっているらしい。凄い・・・


自森人読書 伊豆の踊子
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