自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
物語の語り手オブフレッドは侍女です。彼女は、司令官の子供を産むためだけに存在しています。つまり「2本足を持った子宮」なのです。オブフレッドは、かつての自由な生活は忘れられないのですが夫を失い、娘を奪われ、施設に収容されます。そして、女は子供を産まねばならないと刷り込まれ、司令官のもとへ送り込まれます。彼女は、司令官の妻がいるところで、司令官と愛のないセックスをするのですが・・・
ディストピア小説。
原理主義的なキリスト教徒が社会を支配しているようです。全てが監視されています、侍女たちはそもそも名前を与えられていないし、私物を持つこともできません。愛は禁じられています。逆らえば処刑されます。
非常に不気味な世界が描かれています。荒唐無稽に感じられますが、ありえるかも知れません。「健康と人類全体の利益のため」に、個人が犠牲にされる社会は怖い気がします。持ち出される理由が絶対的なまでに正しいからこそ、かえって危ないのではないか。
権力が都合良くつくりだした差別というものは、日常に潜んでいて意識できないからこそ怖いのではないか、と感じます。それが巧みに描かれています。
しかし、『侍女の物語』という小説は、ファシズムを非難して、単純に今の自由な社会を肯定している、というわけでもありません。様々な矛盾が溢れていることも直視しています。それが良いです。
カナダ総督文学賞、アーサー・C・クラーク賞受賞作。
読んだ本
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』
読んでいる最中
森見登美彦『きつねのはなし』
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