自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
捨て子だったホーティは、びっくり箱のジャンキーともにブルーイット家に引き取られますが、酷い扱いを受けます。蟻を食べていたことが知れ渡ると、家を出て行くよう命じられ、ジャンキーを踏み潰された上に指を3本折られてしまいます。そして、家出します。彼は生まれつき体が小さいハバナ、ジーナ、バニーらに誘われ、奇妙な生物が集められたカーニヴァルに紛れ込み、女の子になります。団長のモネートル、通称「人食い」は、医者です。生きている水晶のような物体を必死で集め、それを用いて侮蔑の対象である人類をいたぶろうとしていたのですが・・・
幻想的なSF小説。
人間とは何か、考えていこうとしているようです。地球上の生物とは仕組みが根本的に異なる水晶のような生物が登場します。それが、夢みる宝石。その設定が非常に面白いです。物語の肝になっています。
グロテスクなものがいろいろと登場します。そして、世間から蔑まれるような欠損を抱えた人(とはいえないような存在)が大勢登場します。しかし主人公の少年ホーティは無頓着です。全く気にかけず、抱きしめます。そして、性差さえもあっさりと乗り越えてしまいます。
不適合なものへの嫌悪がすっぽりと欠けているところは奇妙だし、興味深いです。社会的には容れられない気もするけど、心が広くて、純真ともいえます。スタージョンは空中ブランコ乗りにあこがれていたそうですが、それが反映されているのかも知れない、と感じます。好きだなぁと感じます。
愛というのは、欠けていることなのかなぁと感じます。どうなんだろう。
外見はブラッドベリに似ていますが、中身は違う気がします。より無邪気だし、根本的にずれているし、それでいて精密。ブラッドベリはモダニズムを把握し、あえてそれに背を向けている感じがするけど、スタージョンは根本的に身を置いている場所が違います。「狂う」という言い方はよくないけど、そんな感じ。
読んだ本
シオドア・スタージョン『夢みる宝石』
読んでいる最中
マーガレット・アトウッド『侍女の物語』
犬村小六『とある飛空士への追憶』
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