自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
不可解な小説。『Ⅰ. 偽ルナールの野球博物誌』『Ⅱ. ライプニッツに倣いて』『Ⅲ. センチメンタル・ベースボール・ジャーニー』『Ⅳ. 日本野球創世奇譚』『Ⅴ. 鼻紙からの生還』『Ⅵ. 愛のスタジアム』『Ⅶ. 日本野球の行方』によって構成されています。章ごとに内容はバラバラです。
「野球」を巡る小説と捉えていいのかどうかすら、いまいち分かりません。その最も大切なテーマというべき部分には「野球」ではなくてたとえば「小説」という言葉を代入することも可能なのではないか。
とにかく笑えるところは良いです。『Ⅳ. 日本野球創世奇譚』の辺りになってくると少しうんざりした気分になってきますが、それでもやっぱり面白いです。読んでいると奇妙な気分になります。なんというか踊る言葉の意味が分からなくて、現代演劇を見ているような気分になるのです。
世俗との関係を断ち切ることがない高橋源一郎の姿勢は、少し応援したくなります。同じように筋書きが崩壊した不可解な小説を書いている村上春樹とは全く対照的。
第1回三島由紀夫賞受賞作。
今日読んだ本
高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』
今読んでいる本
池澤夏樹『スティルライフ』
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