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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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川端康成の短編集『伊豆の踊り子』(表題作・『伊豆の踊子』、ほか『温泉宿』『叙情歌』『禽獣』収録)、あまり面白いとは思えず我慢しながら読みました。正直そこまで好きではありませんでした。傑作、といわれる理由が分からないです。
このじれったさが良いんだと言われると、まぁその通りかも知れないと思うけど。
爽やかで淡い恋を描いた『伊豆の踊子』は置いといて、そのほかの作品は、エロ・グロがちょっとはいった幻想小説っぽい感じを受けます。なんとも言い難い不気味さみたいなものがある気がする・・・ 全然しつこくはなんだいけど、どこかねっとりしたイメージを受けます。



川端康成と言う人も、老いを安らかに迎えられなかったという点では三島由紀夫らと似ているなぁと感じます。自殺の理由としては、女中さん(だっけ?)に手を出して拒絶されたから、ノーベル賞受賞の重圧に耐えられなかったから、老いを恐れて、とかいろんなことを言われているけど、こんなふうに世界の醜いというか、グロテスクな一面にばかり目を向けて小説を書いていては、辛くなって当然のような気もします。

川端康成の小説のなかには男尊女卑の思想が存在する、と指摘する人もいるけど、そういう一面もあるかも知れないなぁ。指摘されると、随所に無意識な差別意識がけっこう隠れているような気がしてきます(『伊豆の踊り子』だって、秀才・一高生が、差別を受ける漂流民の女の子に優しい目を向けるというはなし)。そういう世の中だったからしかたない、というふうな弁護も成り立つけど。それで良いんだろうか。
同じ時代、アメリカではレイチェル・カーソンが環境問題を訴え、男女平等を身をもってすすめていたのに(レイチェル・カーソンは研究者として優れた実績をあげ、女性への偏見・差別をおしのけていき、積極的にそういうことを訴えた)。

やっぱり、川端康成は好きにはなれなかった、という結論にまとまります・・・


今日読んだ本
川端康成『伊豆の踊り子』

今読んでいる本
飯嶋和一『黄金旅風』
堀川哲男『孫文と中国の革命運動』


積ん読
遠山啓『現代数学対話』
坪内稔典『季語集』
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