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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  小川洋子
出版社: 講談社

  岡山で母親と2人暮らしをしていた朋子は、母親が学校に通うことになったため、伯父の家にひきとられることになりました。彼女は、美しくて温かい伯父の家で、病弱でありながらも本を愛し、けっして卑屈にならない少女・ミーナと出会います。2人は仲良くなり、穏やかでありながらもいろいろな出来事が起こる毎日を過ごしていきます・・・

  コビトカバ、ポチ子がかわいいです。

  「大きな事件」が起こることはありません。朋子にとっては何もかもが大きな事件だろうけど、基本的にはほんわかとした空気が満ち満ちている中で起こる些細な出来事です。

  とはいえ、それだけではありません。随所にアクセントがきいています。川端康成の自殺。隠れている誤植を探すことに必死なおばさん、みんなを守ろうとして死んだサルのサブロウの話、他人の家に通ってばかりいて、自分の家にはなかなか帰ってこないおじさん。

  そして、オリンピックの時には朋子やミーナたちと、直接には関係がないけれど、世界に暗い影を落とす事件が起こります。暗闇というほど大仰なものではないけど、この世界の中のどこかに綻びみたいなものがある、ということをなんとなく感じます。

  その中に、ぽつんと存在している楽園のようなミーナの家。ちょっとファンタジックではあるのだけど、良い話です。

    第42回谷崎潤一郎賞受賞作。2007年第4回本屋大賞ノミネート作(7位)。


自森人読書 ミーナの行進
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