自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
物語の舞台は近未来の地球。人格や意識や記憶さえもコンピュータの中に取り込むことが可能になり、富豪たちは<コピー>としてコンピュータの中でいつまでも生き続けるようになります。そこへ、ダレムという男が現れます。彼は、たとえ宇宙が消滅しても安全でいられる場所を見出すことができると言い出すのですが・・・
随分と難解なSF小説。
主な主人公は二人。ポールとマリアです。ポールはポール・ダラムの<コピー>(つまり仮想世界の住人)。マリアは「オートヴァース」というモデル世界を弄くることを趣味にしている現実世界の女性。そして、そこに大富豪トマス・リーマンの〈コピー〉の物語と、やはり〈コピー〉のピー、ケイトの物語が絡んできます。視点がくるくるとかわるので混乱しますが、それさえつかめれば、だいたい分からないことはありません。
<コピー>のような存在が生まれとき、社会はどのようにそれを受け入れるのか考えさせられます。「コンピュータの中に住む人間」として扱うのか、それとも「ソフトウェア」として扱うのか。物語の中で、<コピー>は単なる「ソフトウェア」として扱われています。
それを突き詰めて考えていくと、人間とは何なのか、という問いに突き当たります。コンピュータによって再現された人間が、人間といえるのか。物語の中でも多くの人間がその問いに悩まされています。読者も悩まされることになります。
そのような中で、ポールは驚くべき事実を発見します。少し理解し難いのだけど、下巻はそのはなしになるのかなぁと思います。
読んだ本
グレッグ・イーガン『順列都市〈上〉』
読んでいる最中
サマセット・モーム『コスモポリタンズ』
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