自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
「アメリカの鱒釣り」を巡る47の物語、あるいはその断片。最初の章『『アメリカの鱒釣り』の表紙』では、表紙が説明され、ベンジャミン・フランクリン像について書かれています。どれだけ読んでも「アメリカの鱒釣り」が人なのか、物なのか、思想なのか、よく分かりません。人っぽいけど。
不思議な小説。
ブローティガンは詩人としても有名だそうです。『アメリカの鱒釣り』という小説も、詩のようです。全体としては訳が分からないけど、一文一文が面白いです。
< 去年の秋突然、<アメリカの鱒釣りちんちくりん>が、壮麗なクロームめっき鋼鉄の車椅子に坐ってよろよろとサン・フランシスコに現われた。/ かれは脚のないヒステリーの中年アル中のようだ。/ あたかも旧約聖書からの一章のように、かれはノース・ビーチに降り立った。かれは、秋になると渡り鳥が旅立つ理由そのものである。大地の冷え冷えとした回転そのもの、甘い砂糖を吹きしばす悪しき風だ。>というような感じ。全文引用したくなってきます。
とはいえ、とにかく意味を読み取ることが困難なので、困惑します。
しかし、読みづらいわけではありません。文章は簡潔だし、全体的にポップな印象を受けます。それなのに読み終わってみると全体としてどうだったかということがよく分からないのです。本当によく分からないです。
『アメリカの鱒釣り』は『白鯨』のあとを受け継ぐ作品なのではないかと訳者は指摘していますが、どうなのだろう。
『アメリカの鱒釣り』は、アメリカで巻き起こったビート・ジェネレーションの一翼を担ったそうです。ビート・ジェネレーションをよく知らないので、これから読んでみたいです。
もしかしたら、高橋源一郎はブローティガンの後継者なのかなぁ、と少し感じました。
読んだ本
リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』
読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
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