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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  野坂昭如
出版社: 新潮社

  「エロ事師」として、世の男どもにあらゆる享楽の手管を提供する人たちが主人公。始めは男女の睦言を盗聴したものを売りさばいていたのですが、その内写真に手を出すようになり、さらには映像にも手を出すことになります。そうして、彼らは段々とエスカレートしていき・・・

  長編小説。

表紙はちょっと気味が悪い感じ。ですが、中身は面白おかしいです。関西弁まじりなので、最初は少し読みづらいのですが、途中からは変な人たちが続々と登場してくるので、面白くなってきます。エロに熱くなり、全てを捧げる男達が滑稽です。

  主人公達の、世間の人たちに対するシニカルな視線がいい味をだしています(女子高生とセックスしたあとに、気をつけるんだよと注意する会社員の滑稽さ、とかをえぐる)。

  どことなく物悲しさも感じさせられます。とくに、娘に去られた後人形に発情するようになった主人公・スブやんのゆがみは痛々しいです。

  そして、死んだあとまで勃起しているスブやんの姿はとくに象徴的。エロを追求するうちに自分というものが失われて、「セックス」が自分になってしまった、ということを暗示しているのかなぁ・・・ いや全てを失ってしまったあとに、やっとエロを手に入れた、ということなのか(本末転倒)。かなりブラックなものも含んでいるような気がします。

  野坂昭如のデビュー作。それにしても、あの『火垂るの墓』の原作者がこんな物語を書いてデビューしたとは・・・ けっこう意外でした。関西弁がうまく駆使されているところが印象的。


自森人読書 エロ事師たち
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