自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
私(マリエ)は、母のカナ子、姉のユリエとともに生活しています。二人目の父が死んだ後、母の手をかくためにチダさんが家を訪れるようになるのですが、いつしかチダさんも来なくなります。その後、私は女子高の教員になり、ユリエは、オトヒコという太った男を愛するようになり、家を去っていきます。私の生徒の一人ミドリ子には紅郎という兄がいました。私は紅郎と愛し合うようになります。一方、ミドリ子は鈴本鈴郎に迫られ・・・
不思議な恋愛小説。
やはり川上弘美の文体は柔らかいです。そして、気持ち悪いほど温かいです。だからか、不思議な出来事、不可解な出来事、不気味な出来事などが挟まれているのに、何が正常なのか分からなくなってきます。
好きというのはどういうことなのだろう、と問うているのだと読んでいて感じました。人を好きになるということは、決して確実なことではないみたいです。
変わっていく、捉えられない小説を目指しているのかも知れないと感じました。
意味を見出そうとするとかえって混乱するし、困ることになります。単にでたらめなだけのような気もします。しかし、だからこそ不確定性を持った面白い小説になっているのかも。まぁ、しっかりとした文体で分析するのは非常に難しいです。
幾つもの御伽噺が挟まれています。とくに、オトヒコに関する御伽噺は秀逸。嘘なのかほんとなのか分からないです。嘘だというふうに本人は言っていますが。
ちょっと飽きてくるのですが、それでも奇怪で楽しいです。
読んだ本
川上弘美『いとしい』
読んでいる本
ジョージ・オーウェル『動物農場』
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