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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『ブラウン神父の童心』はG・K・チェスタトンの短編集。『青い十字架』『秘密の庭』『奇妙な足音』『飛ぶ星』『見えない男』『イズレイル・ガウの誉れ』『狂った形』『サラディン公の罪』『神の鉄槌』『アポロの眼』『折れた剣』『三つの兇器』収録。
『ブラウン神父の童心』

『青い十字架』
パリ警察に勤める名探偵・ヴァランタンは、機知と遊び心に溢れた大怪盗フランボウを捕らえるためロンドンへ向かいます。その途中で塩と砂糖が交換されているのを発見します。通りかかった二人組が行ったらしい。奇怪に思い、ヴァランタンは二人組を追うのですが・・・ ブラウン神父が初登場。

『見えない男』
四人の人間が周囲から監視していた建物の中で男が殺害されます。皆は恋敵が犯人ではないかと疑うのですが・・・

1911年に発表されたミステリ小説。

ブラウン神父はとても小さくて、丸顔で眼鏡を掛け、いつでも蝙蝠傘を持っています。だから、誰からも相手にされないのですが、実は鋭い洞察力と説明力を持っています。彼は、論理だけで全ての事件を解決していきます。そして、そのブラウン神父の相棒であり、引き立て役となるのがフランボウ。善良な心を持った大男。

突拍子がないトリック、心理的な盲点をついたトリックなどがたくさんあって面白いです。中には少し納得しがたい阿呆らしいものもないわけではないのですが楽しめます。『見えない男』などは、なかなかに面白いです。

最終的には論理が勝ちますが、それはキリスト教、つまり神への信仰を前提とした論理です。神秘的/幻想的な雰囲気が漂ってくることも多いです。新興宗教を立ち上げた男との対立が描かれる『アポロンの眼』などはなかなかに面白いです。本格ミステリなのだけど、宗教に関する物語のようでもあります。

犯人は創造的な芸術家だが、探偵は批評家にすぎぬというあまりにも有名な台詞も登場。とにかく、逆説と皮肉と批評が多くて楽しいです。無邪気にも王政と教養をぶっ壊したフランス人を軽く揶揄したり、「乗客の群れ」を蝿のように吐き出されたと表現したり、カトリック以外の宗教を愚弄するところは印象的。言いたいことは分からないでもないです。



読んだ本
G・K・チェスタトン『ブラウン神父の童心』

読んでいる本
W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』
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