自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
ブッダ、束縛という名の息子ラーフラ、孫のティッサ・メッテイヤの物語。ブッダは夫となり、子供を得ることで変化します。何らかの悟りではなく、子供というものが最終的には出奔を招くのです。ラーフラは幼い頃から、驚異的な記憶力に苦しめられてしまいます。そして、やはり出奔してしまい、性欲に負けて女を抱き、息子ティッサ・メッテイヤを得ます。
小説。
非常に、薄いです。しかし、その中に、多くのエピソードが詰め込まれています。一つ一つが魅力的。多くのテーマを発掘していくことができます。物語がもつ無限の可能性を孕んでいるということができるかも知れません。
時間がするする、さらさら流れていくので、三代のことを綴ることができています。その流れが妙に良いです。
日本語としては関節が外れているようになっていて、妙に慣れません。表現としても微妙な部分も少なくありません。しかし、その文体が、逆に面白みを生んでいるということもできます。この物語の流れにあっている気がします。
確かに面白いです。しかし、褒められすぎなのではないか、と感じないでもないです。長さは操作できるのです。そして、奔流ということはできないものを短く書くことは容易です。
しかし、前途は有望といえます。
読んだ本
磯崎憲一郎『肝心の子供』
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