自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』のことが、丁寧に紹介されています。作品のあらすじから、その作品のキモの部分、作品が書かれた時代背景、西洋作品との共通点・相違点まで、書き込まれているので、その作品を把握することができます。
中国小説の入門書。
『水滸伝』『金瓶梅』は知っていました。『水滸伝』は以前、端から端まで読んだこともあります。しかし、『紅楼夢』には触れたことがなかったので、『紅楼夢』のあらすじを読み、驚きました。
『紅楼夢』の主人公は貴公子・賈宝玉と、賈宝玉の幼馴染の少女・林黛玉。賈宝玉は、数十人の美少女に囲まれながら遊び暮らすだけ。科挙を無視して、男性が権勢をふるう社会に行こうとはしません。そして、少女こそが、清らかなモノであると言い放つこともあるそうです。少女崇拝です。
『紅楼夢』は、現代につながる作品なのではないかと感じました。現在の日本を髣髴とさせます(その当の作品を読まないうちから判断するのは、よくないと思いますが・・・)。
昨今、日本社会には、個性を持つ特定の少女ではなく、少女というイメージそのものに対する崇拝・欲望があふれているのではないか、と思います。世界にも、少女に聖性を見出して特別視する文化はあります。しかし、たぶん、露骨に「少女」をあぶりだして、すがりつく(ことが許されている)のは、日本だけです。中でも、とくに、「少女」というものに拘泥しているのが、いわゆるオタク文化です。
オタク文化は日本の文化の極端な部分であるといわれることがあるようです。しかし、もしかしたら、そのルーツは『紅楼夢』なのかも知れない、と『中国の五大小説〈下〉』を読み、感じました。そういう角度から『紅楼夢』を読んだら面白いかも知れません。
各々の作品を、しっかりと読んでみたいと思います。どの作品も非常に長大ですが・・・
読んだ本
井波律子『中国の五大小説〈下〉水滸伝・金瓶梅・紅楼夢』
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