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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  ジャネット・ウィンターソン
出版社: 白水社(訳:岸本佐知子)

  オレンジを12個口に入れることができ、象さえも吹き飛ばすことができる大女は、たくさんの犬を引き連れているため「犬女」と呼ばれていました。そんな彼女は、あるときテムズ川で赤ん坊を拾い、ジョーダンと名付けます。成長したジョーダンは、踊り手フォーチュナータを探すたびに出ます。一方、犬女は処刑された王の仇を討つために、ピューリタンたちを叩き潰していきます・・・

  あらすじを追って説明していくことは難しいです。「わたしはいま・ここに縛られているわけではない」という考え方が、『さくらんぼの性は』という物語を支えているからです。最初は混乱するのですが、読み進めていくうちに物語の中に吸い込まれていきます。

  猥雑なのに美しくて、幻想的なのにきちりとまとまっていて、残酷なのに優しくて、壮大なのにすかっとしています。最初はジョーダンの旅と犬女の日々が交互に綴られています。

  ジョーダンの旅は壮大なる叙事詩です。彼は、空が言葉に埋め尽くされてしまうためそれを清掃する人がいる世界にまぎれこんだりするのです。とんでもなくぶっ飛んでいて残酷なところはとても童話的。そして時には神話的。

  一方、醜く巨大な犬女の大活躍は爽快です。王の首をちょんぎり、全てを清潔に規律で縛ろうとしながら自分には甘いピューリタンの男たちを片っ端からぶちのめしていくのです(確かに革命というのは高貴なものを引きずりおろす蛮行ではあるのだけど全否定してしまって良いのか、と僕は少しだけ感じました。王を敬うイギリスの国風が感じられます。)。しかし、息子ジョーダンには彼への愛を素直に告げられません。その不器用さもまた印象的。

  女を支配していると思い込んでいる男たちを見つめる女たちの辛辣な感想は怖いけど、小気味良いです。世界は多面的に見ることが必要なのだなぁ、と感じました。

  最後の章では物凄いことが明かされます。しかし、なぜかすっと受け入れられます。想像力が世界を創り、繋ぐのかも知れない。


自森人読書 さくらんぼの性は
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