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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  高橋源一郎
出版社: 河出書房新社

  不可解な小説。

  『Ⅰ. 偽ルナールの野球博物誌』『Ⅱ. ライプニッツに倣いて』『Ⅲ. センチメンタル・ベースボール・ジャーニー』『Ⅳ. 日本野球創世奇譚』『Ⅴ. 鼻紙からの生還』『Ⅵ. 愛のスタジアム』『Ⅶ. 日本野球の行方』によって構成されています。章ごとに登場人物も、内容もバラバラ。

  「野球」を巡る小説と捉えていいのかどうかすら、いまいち分かりません。その最も大切なテーマというべき部分には「野球」ではなくてたとえば「文学」という言葉を代入することも可能なのではないか。いや、むしろ日本野球とはすなわち日本文学なのではないか。

  踊る言葉の意味が分からなくて、読めば読むほど奇妙な気分になります。現代演劇に近い。

  ポップでサクッとした文章は意味不明でありながら意味深長。いくらでも意味や問いかけを見出すことが可能な気がします。しかし、意味を文章の中から読み取ろうとすることに意味があるのだろうか。『優雅で感傷的な日本野球』は、意味なんていうものはどこからでも拾いだすことができる、と教えてくれているような気がします。

  笑えるところは良いです。『Ⅳ. 日本野球創世奇譚』の辺りになってくると少しうんざりした気分になってきますが、それでもやっぱり面白いです。「日本野球」の誕生を神話で説明してしまうとは・・・ 劇作家が「1985年、阪神タイガースは優勝しなかった」と語りだす『Ⅶ. 日本野球の行方』が最も分かりやすいです。優雅で感傷的な日本野球というものの姿が案外明確に示されます。

  記念すべき第1回三島由紀夫賞受賞作。


自森人読書 優雅で感傷的な日本野球
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