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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  池澤夏樹
出版社: 中央公論社

  池澤夏樹の短編集。『スティル・ライフ』『ヤー・チャイカ』収録。

  『スティル・ライフ』
  染色工場でアルバイトをしていたぼくは、同僚の佐々井と親しくなります。佐々井は染色工場での仕事をやめた後、ぼくにある企みをもちかけてきます・・・ 中央公論新人賞・芥川賞受賞作。

  『ヤー・チャイカ』
  娘を家に残し、仕事に出掛けた父はひょんなことからソ連から来た男・クーキンと親しくなります。女の子と恐竜ディプロドクスとの交流の物語が途中途中に挟まれます。むしろ僕は表題作よりも好きでした。

  池澤夏樹の小説は、いかにも「御伽噺」のようにみえます。基本的に単調だし(素人っぽいし)、ご都合主義的なのです。だから、小説としての完成度は低いように思えます。

  しかし、美しい文章が散りばめられているため、そのたびにはっとさせられ、惹きつけられます。小説らしくない「スナップのような小説」といってしまっても良いかも知れません。それまでは詩人として活躍していたことが影響しているのかなぁ・・・

  ただし、スナップ的なのだけど、分析的な面も併せ持っているため摩訶不思議なことになっています。世界は様々な部品によって組み立てられたシステムの複合体なのだというような思想が背景にあるみたいなのです。その摩訶不思議さが非常に面白いです。


自森人読書 スティル・ライフ
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