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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  中島たい子
出版社: 集英社

  みのりは、元カレが結婚すると知ってから突如として体調を崩してしまいます。固形物をほとんど食べられず、その上震えが止まらなくなって救急車で病院に運びこまれることもありました。しかし、どこの病院に行ってもとくに悪いところは見つかりません。そして、最終的にたどり着いたのは漢方診療所でした。そこにはかっこいいお医者さんがいて・・・

  あらすじだけ読むと陰鬱な小説っぽいですが、実は愉快な小説です。

  もともと脚本を書いていた人らしく、物語としてもきちりとまとまっています。シリアスな部分もあれば、コミカルな部分もあり、バランスがとれています。読みやすいです。

  30台の女性にとって結婚というのは本当に難しくて面倒な問題なんだろうなぁ、と読んでいて改めて思いました。主人公みのるや周りの女性たちは結婚できずに「負け犬」になることを受け入れるわけではないし、決してめげないというわけではないけれど安易に結婚に飛びつきはしません。でもときには揺れることもあります。そこらへんの微妙な心の移り変わりが真面目に、だけど面白く書かれています。

  漢方に関する説明はかなり真面目できっちりしています。

  僕は漢方診療所に行き、薬も貰ったことがあるのですが、細かいところまで正確に描写されていることには感心しました。「西洋科学に則ったものではないけれど、長年の治験の上に成り立っている」ということや、漢方の基本的な考え方までまとめられています。これを読んで漢方診療所に行こうと思う人もいるのではないかなぁ・・・

  第28回すばる文学賞受賞作。


自森人読書 漢方小説
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