自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★★★★
著者: 小林恭二
出版社: 福武書店
小林恭二の短編集。『電話男』『迷宮生活』収録。
『電話男』
電話越しに様々な人の言葉を聞き、その人の心を受け止めることを務めとしている電話男の独白。電話男たちはどこから出現し、どこへ向かうのか。そして電話男たちの最大の敵とは? 第3回海燕新人文学賞を受賞したデビュー作。
『迷宮生活』
K氏は自分でつくったそれなりのルールに従って淡々と日々を過ごしています。彼は無為の日々の中で変な思想を抱き、意味のないことを繰り返しています。しかし、その内神をつくろうとしてとんでもないことになっていきます・・・
高橋源一郎や島田雅彦とともに「ポストモダン文学」の旗手といわれる小林恭二の作品はサクッとしています。やっぱり、他の「ポストモダン文学」作家の人たちと同じように人懐こくてポップで読みやすいのです。まぁ内容はちょっと不可解な感じもしますが、高橋源一郎と比べれば露骨というか、分かりやすい方かもしれません。
『電話男』は名作。文体と文章はさらさらしていて少し足りないくらいなのに、分かり合えないことが前提となってしまった断絶の時代の中で苦しむ孤独な人間たちの抱え込んだ苦しみと哀しみが的確に、それでいてぼんやりと表現されています。なんというか、劇を意識したらしいわざとらしい雰囲気もいいです。
すでに言語や理性すら頼りにならない今、いったいどこを目指して生きていけばいいのか。本当に考えさせられます・・・
自森人読書 電話男
著者: 小林恭二
出版社: 福武書店
小林恭二の短編集。『電話男』『迷宮生活』収録。
『電話男』
電話越しに様々な人の言葉を聞き、その人の心を受け止めることを務めとしている電話男の独白。電話男たちはどこから出現し、どこへ向かうのか。そして電話男たちの最大の敵とは? 第3回海燕新人文学賞を受賞したデビュー作。
『迷宮生活』
K氏は自分でつくったそれなりのルールに従って淡々と日々を過ごしています。彼は無為の日々の中で変な思想を抱き、意味のないことを繰り返しています。しかし、その内神をつくろうとしてとんでもないことになっていきます・・・
高橋源一郎や島田雅彦とともに「ポストモダン文学」の旗手といわれる小林恭二の作品はサクッとしています。やっぱり、他の「ポストモダン文学」作家の人たちと同じように人懐こくてポップで読みやすいのです。まぁ内容はちょっと不可解な感じもしますが、高橋源一郎と比べれば露骨というか、分かりやすい方かもしれません。
『電話男』は名作。文体と文章はさらさらしていて少し足りないくらいなのに、分かり合えないことが前提となってしまった断絶の時代の中で苦しむ孤独な人間たちの抱え込んだ苦しみと哀しみが的確に、それでいてぼんやりと表現されています。なんというか、劇を意識したらしいわざとらしい雰囲気もいいです。
すでに言語や理性すら頼りにならない今、いったいどこを目指して生きていけばいいのか。本当に考えさせられます・・・
自森人読書 電話男
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