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★★★

著者:  司馬遼太郎
出版社: 文藝春秋

  『故郷忘じがたく候』は、バラバラの破片を集めるようにして、16世紀豊臣秀吉の侵略によって拉致され、日本の薩摩にやってきた朝鮮の人たちの数奇な軌跡を江戸・明治・大正・昭和とたどっていった短編。彼らは今でも鹿児島の地に生き続けているそうです。

  日本人として鹿児島に住みながらも先祖の心を引き継いで故郷を想い続ける朝鮮人、沈寿官が、朝鮮に行ったとき、学生に向けて講演したという言葉が印象に残ります。「あなた方が三十六年をいうなら、私は三百七十年をいわねばならない」。彼は、戦争被害を言い続け、後ろを振り向くのはやめよう、と祖国の人たちに呼びかけます。

  拉致問題にも、同じ言葉があてはまるのではないか、と感じました。「おあいこ」ですむ問題では決してないし、まだ拉致されている人が北朝鮮にいるならば、その人たちを救うのは急いで為さねばならないことです。しかし、日本国が北朝鮮による何十年間前かの拉致の罪を声高に糾弾するならば、朝鮮の人たちは「日本による60年間前の拉致の罪を糾弾せねばならない」となるのではないか・・・

  司馬遼太郎の物語は、短い中にたくさんのものが詰め込まれていて、感心させられます。「無味乾燥な歴史に命を吹き込んだ歴史作家」といわれるほどなのだから当然か。

  とはいえ、司馬遼太郎が本領を発揮しているのは多分長編だろうと思います。だから、『坂の上の雲』『関が原』『街道をゆく』といった辺りは、いつか読みたいとは思っているけど、読破するのがとても大変な気がして、いまだに何作か(『燃えよ剣』と『項羽と劉邦』)しか読んでないです。『竜馬がゆく』は途中で放り出してしまったし・・・ う~んなぜか波長が合わない・・・


自森人読書 故郷忘じがたく候
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