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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『ケルベロス第五の首』
3つの中篇によって構成されています。『ケルベロス第五の首』『『ある物語』ジョン・V・マーシュ作』『V.R.T.』収録。

〈物語の設定〉 双子惑星サント・クロアとサント・アンヌでは、地球から移住してきた人類が繁栄しています。そして、かつてサント・アンヌに住んでいた原住民は人類によって駆逐され、滅亡したことになっています。ですが、原住民を見かけたという噂は絶えません。学者の中には、何にでも変身できる原住民は人類ととって代わり、人類を滅ぼしてしまったのだという人もいるのですが・・・

『ケルベロス第五の首』
物語の舞台は、奴隷売買で栄える惑星惑星サント・クロワの中の一都市ポール・ミミゾンにある娼館「犬の家」。少年の回想です。かつて、少年は家庭教師ミスター・ミリオン、弟デイヴィットとともに「犬の家」で生活しています。他にも父と叔母ジーニーが住んでいるのですが顔を合わせることはありませんでした。ある日、父に呼ばれ、ナンバーファイブという名前を与えられ、様々なことを問われるようになります。それと前後して、少年は弟とともに、美しい少女フィードリアと出会い、演劇の公演を行うようになります。

『『ある物語』ジョン・V・マーシュ作』
マーシュが採集し、書き記した「アボ」の伝説が綴られています。物語の舞台はサント・アンヌ。「揺れるスギの枝」は「東の風(ジョン・イーストウィンド)」と「砂歩き(ジョン・サンドウォーカー)」を産みます。「東の風」は川に誘拐されてしまいます。ですが、「砂歩き」はたくましく成長していき・・・

『V.R.T.』
囚人143号はなぜか逮捕され、監獄に閉じ込められてしまいます。物語は、囚人143号の手記や日記、彼を尋問したときの記録などを読み続ける取調官の視点から綴られています。少しカフカっぽいです。

SF小説。

非常に魅力的な小説。まず、細部が素晴らしいです。とくに、『『ある物語』ジョン・V・マーシュ作』は面白いです。伝説や神話にも似た壮大さが感じられるし、それでいて謎に満ちているのです。

何を書いてもネタバレになりそうだけど、ネタバレはありえない気もします。なぜならば謎解きが存在しないからです。『V.R.T.』は自分殺しの物語ではないか、という推測は成り立つけれど、それらが正しいのか判定することは出ません。自分とは何か、記憶とは何か、歴史とは何か、様々なことを考えさせられます。


読んだ本
ジーン・ウルフ『ケルベロス第五の首』

読んでいる最中
グレッグ・イーガン『順列都市〈上〉』
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