自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
主人公は三十七歳の大町ツキコ。彼女は、一杯飲み屋で、センセイに出会い、酒を飲みつつ、語りあいます。センセイは国語の教師です。背筋を反らせ気味にカウンターに座わり、「ワタクシは・・・」と律儀に語ります。そして、詩や内田百間を引用します。昔、ツキコもセンセイに国語を学んだことがありました。ツキコとセンセイはであってから、少しずつ、少しずつ惹かれあってきますが・・・
もわっとした恋愛小説。
なんともいいがたいです。案外饒舌なのだけど、なんとなく言葉が足りない気もします。語りつくされているということがないのです。ふわっとしたものが取り残されているような印象を受けます。
川上弘美らしい小説です。
今回は、普通の恋愛小説としても読めてしまいますが、やはり川上弘美の小説は普通ではない気がします。普通、現実といわれているものを忠実にうつしとるつもりはないようです。
だから、普通の小説として読むと不自然な部分が散見されるし、様々な人に批判されているようです。だけど、それらの批判は、全て的外れではないか、と感じます。はふっという感じ、なのだから、それを楽しむべきではないのかなぁ。
すーっと通り過ぎていくので、少し印象が薄いけど、それこそが『センセイの鞄』なのではないか。
平凡社。
読んだ本
川上弘美『センセイの鞄』
読んでいる最中
スティーヴン・バクスター『時間的無限大』
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