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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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高木彬光『原子病患者』は、被爆の被害を描いた短編。名探偵・神津恭介が登場。
ちょうど太平洋ビキニ環礁で、水爆実験が行われ、第五福竜丸が核の灰をかぶった頃の物語です。長い間寝たきりの夫を看病していた、ある女性が自分は被爆しているのではないか、と医者に相談します。ですが、彼女は、広島にも長崎にも行ったことはない。それなのに、被爆反応は確かにある・・・
いったいどういうことなのか・・・

実は、寝たきりの男の主治医が放射性カルシウムを寝たきりの男の脊髄にいれた、というのが答え。その主治医は、女に恋をしていたので、女の夫を普通の病死にみせかけ、殺してしまおうとしたのです。
直接戦争に関係はないけど、背景に原爆の問題がある作品。ミステリとしては、ちょっとこれはないだろう、という感じですが、お話としては面白いです。


日影丈吉『月あかり』は、奇怪な、戦争のホラーを描いたような物語。戦争中の物語。
主人公は、村木中尉という男。彼の属する中隊が、湖南の月下鎮(仮名)というところに着いたとき、彼の率いる小隊から小城一等兵が脱走します。そしてその夜、敵軍の夜襲を受けました。
中隊の隊長は、小城一等兵は敵に走ったのではないか、と疑い、村木中尉に小城を探すように命じました。けっこうばかげた命令です。ですが、村木中尉はそれに従い、探しにいき、酒飲んで寝ていた小城を発見。中隊のところへ戻ります。
そして成果を報告しに、中隊の隊長に会いにいくと彼の首が机の上にすとんと乗っていました。多分青竜刀を持った敵にばっさりとやられたのでしょう・・・


樹下太郎『泪ぐむ埴輪』は、男が妻に貞淑を求めた怖い物語。戦争中の物語。これはミステリとしてもなかなかです。
友次郎という男がいました。彼はさと子と結婚してすぐに出征し、戦死しました。2人の仲は、あまりよくなかったという者もあるけど、物語の語り手・正吉はそんなこともないのでは、と思っています。

友次郎の遺骨が届けられたのち、突然さと子が毒死しました。新聞はこぞって「靖国の妻 夫に殉ず」などと書きたて、自殺と断定。しかし、彼女の周辺には、あやしい人がけっこういたので周りの人間は誰もさと子が自殺だと考えているものはいません。そして疑いあいの嵐が巻き起こるのですが・・・
実は、友次郎が「自分が死んだらこれを飲みながら俺のことを思い出してくれ」と言って、さと子に残していったウィスキーの中に毒が入っていたのです。つまり、戦死した友次郎が、和歌の男にとられないように妻を殺したわけです・・・

かなりグロテスクです。「貞女は二夫に見えず」というのを実行するように男が強制したわけです。


菊村到『ヒロシマで会った少女』は、広島という地と原爆の問題を描いた短編。
矢尻という記者が語り手。彼は原爆投下から18年たった広島へ行き、赤ちゃんの頃被爆した18歳の少女と出会います。彼女はとても健康的で、ぴんぴんしていたのですが・・・
彼女は、暴力団の抗争に巻き込まれ、命を落とします。

菊村到は、第37回芥川賞を受賞した人。この短編集の中では、文章がとても読みやすいです。


今日読んだ作品
高木彬光『原子病患者』
日影丈吉『月あかり』
樹下太郎『泪ぐむ埴輪』
菊村到『ヒロシマで会った少女』


今読んでいる作品
佐野洋『灰色の絆』
仁木悦子『山のふところに』
西東登『壷の中』
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
結城昌治『長かった夏』
山村美沙『骨の証言』
森村誠一『悪魔の飽食』
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