自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
『黒衣の聖母』『絆』は、『最大の殺人』収録の作品。佐野洋・編『最大の殺人』は、戦争に関わる作品集らしいです。
山田風太郎『黒衣の聖母』は、学徒出陣して戦後に帰ってきた男・蜂須賀が主人公。彼には、愛する人がいたのですが、彼女は戦争中空襲に遭って行方不明になってしまいました。戦場へ出ていった男が生き延び、本土にあった女が死んだ・・・・・ とても皮肉な結果です。
戦後、蜂須賀は闇屋となり、けっこう儲けてそれなりに良い暮らしをするのですが、愛した人のことが忘れられない。そんなある日、かつての恋人とどことなく雰囲気の似た女性と出会います。凄く美人。それでいて実は、パンパン。赤ちゃんを養うために体を売っている、というのです。
蜂須賀は出会った彼女のことを「聖女」のように思いながら、買うのですが、実は・・・
「酒飲んで女を買った、その後女を買うときはなんとなく酒が必要になった」というところがミソ。つまり、意識が朦朧とした中、しかも暗闇で女と抱き合っているので入れ替わっていても気付かない、というのがこの物語のどきりとさせられる部分です。いやー、ほんと怖い。
しかも、最後の手紙を読むともっとどきりとします。
土屋隆夫『絆』は、ある地方の小学校の教員・千野先生が主人公。彼は、ある綴方(作文)が、とても気になってしまいました。タイトルは、「ぼくの父は殺された」。その中では、「ぼくの父親は自殺したことになっているが、その前に歯医者を訪ねている。死ぬ前に歯を治すなんておかしい」と書いてありました。
それは、小学生の男の子が書いたもの。千野先生は、その男の子のために男の子の父親が自殺なのかどう確認したいと思い、ちょうど郷土に帰ってきた警視庁の朝霧に、個人的に調査を依頼します。落ちぶれた元軍人というところが、あやしい・・・誰かに復讐されたのでは?
う~ん、あんまり面白くないなぁ、ミステリとしては。でも、それなりに読むことはできます。
今日読んだ作品
山田風太郎『黒衣の聖母』
土屋隆夫『絆』
今読んでいる作品
高木彬光『原子病患者』
日影丈吉『月あかり』
樹下太郎『泪ぐむ埴輪』
菊村到『ヒロシマで会った少女』
佐野洋『灰色の絆』
森村誠一『悪魔の飽食』
山田風太郎『黒衣の聖母』は、学徒出陣して戦後に帰ってきた男・蜂須賀が主人公。彼には、愛する人がいたのですが、彼女は戦争中空襲に遭って行方不明になってしまいました。戦場へ出ていった男が生き延び、本土にあった女が死んだ・・・・・ とても皮肉な結果です。
戦後、蜂須賀は闇屋となり、けっこう儲けてそれなりに良い暮らしをするのですが、愛した人のことが忘れられない。そんなある日、かつての恋人とどことなく雰囲気の似た女性と出会います。凄く美人。それでいて実は、パンパン。赤ちゃんを養うために体を売っている、というのです。
蜂須賀は出会った彼女のことを「聖女」のように思いながら、買うのですが、実は・・・
「酒飲んで女を買った、その後女を買うときはなんとなく酒が必要になった」というところがミソ。つまり、意識が朦朧とした中、しかも暗闇で女と抱き合っているので入れ替わっていても気付かない、というのがこの物語のどきりとさせられる部分です。いやー、ほんと怖い。
しかも、最後の手紙を読むともっとどきりとします。
土屋隆夫『絆』は、ある地方の小学校の教員・千野先生が主人公。彼は、ある綴方(作文)が、とても気になってしまいました。タイトルは、「ぼくの父は殺された」。その中では、「ぼくの父親は自殺したことになっているが、その前に歯医者を訪ねている。死ぬ前に歯を治すなんておかしい」と書いてありました。
それは、小学生の男の子が書いたもの。千野先生は、その男の子のために男の子の父親が自殺なのかどう確認したいと思い、ちょうど郷土に帰ってきた警視庁の朝霧に、個人的に調査を依頼します。落ちぶれた元軍人というところが、あやしい・・・誰かに復讐されたのでは?
う~ん、あんまり面白くないなぁ、ミステリとしては。でも、それなりに読むことはできます。
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