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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  小林多喜二
出版社: 新潮社

  ずっと昔から人間の社会には、貧困問題というものがあってそれを解決できていないけど、今以上に酷い状況がかつてはあったんだなぁ。だけど、労働状況というのは労働者が改善を求めて行動してきたから良くなってきたのであって、その努力を怠ったらその途端に昔に逆戻りになってしまうのではないか、と思います。僕は自由の森学園中学3年森の時間の中で、現代日本の貧困ということについて学んできました。 生きさせろ! チームのことです。

  そこで学んだことをまとめると、いま日本は昔のひどい状態へ逆戻りしかけているんじゃないかなぁ、という気がします。最近、再び「蟹工船」ブームがやってきた、というのは、いろんな人が言っているように「蟹工船」の世界が現代の日本の貧困問題と通ずるところがあるからではないか。搾取に対抗するためには団結するしかない、労働争議だ、というのが「蟹工船」の主題だと思うけど、その通りだと思いました。力の無い側は連携して、戦うしかないんだから。

  読んでいて、「現代のプロレタリア文学」というのは生まれないのかなぁ、と思いました。石田いらは、みみっちいというかあんまり面白くないし。雨宮処凛は凄いけど、文学というよりも、ルポみたいなものだし。 湯浅誠の本も、冷静な分析であって文学というのとは少し違う気がする。

  そういえば、「蟹工船」を読んでいて思ったのですが、作中では淺川さんだっけ? トップの人しか名前で呼ばれないんだなぁ・・ 他の人たちは、ほとんど誰も名前が無いのか。「千と千尋の物語」のテーマだったけど、固有名詞・名前は大切なものです。それが無い、というのは労働者たちがどれだけ軽んじられているか、の証じゃないかなぁ。

  あと、軍隊は資本家の味方、支配階級の番犬だ、というのもこのおはなしの大きなテーマだと感じました。ものすごく分かりやすいです。沖縄修学旅行の中で学んできたこととも関係してきます。結局軍隊が守るのは国民じゃない、国家なんだよなぁ。歴史上、軍隊はいつも国民を弾圧し、戦争の巻き添えにして、守ることはないんだよなぁ。

  もしかして、蟹工船というのはそれ自体が日本の比喩なのかなぁ。という気が少ししました。横暴で人の心を踏みにじる男が沈没しかけみたいな船の頂点にいる。違うかな・・・

  凄く考えさせられるなぁ、と思いました。


自森人読書 蟹工船
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