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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『城』
Kは夜おそく村に着きます。あたりは深い雪に覆われ、霧と闇につつまれていました。彼は、ヴェストヴェスト伯爵の城を目指していましたが、なかなか城は見えてきません。なので、一時、その村に留まることにします。その後、彼は苦しむことになります。測量士として城に雇われたはずなのに、行き違いから仕事はないと言われたからです。Kは必死で抗弁するのですが・・・

未完の長編小説。

カフカが書き残した小説の中でも、一番長いみたいです。そして、多分、最もわけが分からないです。複雑な物語ではないのだけど、あらすじを追っていくことが出来ません。そういうふうに、物語が進んでいくことに必然性がない感じがするのです。Kは、フリーダと結ばれます。そして、様々な矛盾に立ち向かおうとするのですが、すれ違うだけです。彼が何を成そうとして、何と戦っているのかさっぱり見えてきません。そうして、Kは軋轢の中にあります。

不可解な役所/機構が今回も登場します。それは、内部でどういうやり取りがなされているのかいまいち分からないのに、権力と権威は持っている不可思議な存在です。

城とは何か、あるいは測量士とは何か、といったこともいまいち分かりません。何らかの象徴なのかも知れないとは感じます。しかし、何を当てはめても適切といえる気がするし、不適切ともいえる気がします。ようするに、分からないのです。しかし、分からないというふうに結論付けるのも無責任ではないかなぁとも感じます。

しかし、何が言いたいのか分かりません。

そして、その分からなさことがカフカの魅力ではないか、とも感じるのですが、カフカ以外の人間が、カフカの小説を真似たとしても決してカフカにはなれない気がします。なぜにカフカはカフカなのか。それさえも、分からないのかなぁ。カフカ自体が、茫洋として捉えられない『城』みたいなものではないか。

白水社。


読んだ本
フランツ・カフカ『城』

読んでいる最中
イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』
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