自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
蒲生稔という男が逮捕されます。彼は、真実の愛を欲し、何人もの女性を殺害してきました。その逮捕までの経過が三つの視点から綴られていきます。犯人は次々と女性を殺していきます。知人の島木敏子を失った元警視庁捜査一課警部・樋口武雄は犯人を見つけようとします。一方、雅子は息子が犯人のはずがないと思いつつも、様々な物的証拠を見つけてしまい・・・
サイコホラーっぽいミステリ小説。
犯人は、女性を殺した後にセックスしたり、死体を切り取ったりします。そういったことが淡々と綴られているところが、とくに気持ち悪いです。とはいえ、逆に切迫感はない気もします。
ラストには驚かされました。叙述トリックが仕掛けられています。巧い具合に思い込みが利用されています。
笠井潔の解説が面白いです。本格推理小説というものに社会性を見出し、優れたものとして評価していきます。『殺戮にいたる病』を最高峰として絶賛していますが、これが最高峰なのか。優れた騙りが発揮されているとは思いますが、気持ち悪いなぁ・・・
現代社会の闇を抉り出しているといえるのかも知れません。だけど、ようするに読者を仰天させるために書かれた小説なのだから、それほど真面目に読む必要はない気もします。むしろ、社会について云々していると言い訳しつつ、結局のところミステリを楽しんでいるだけということになり兼ねないのではないか。
この気持ち悪さは、現代日本の気持ち悪さなのか。
読んだ本
我孫子武丸『殺戮にいたる病』
読んでいる最中
レイ・ブラッドベリ『塵よりよみがえり』
フランツ・カフカ『城』
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