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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  藤原伊織
出版社: 講談社

  ある日、突如として新宿中央公園で爆発事件が発生。多数の死傷者をだしました。その場に偶然居合わせたアルコール中毒のバーテンダー・島村は、結果として事件に巻き込まれてしまうことに。彼は、全共闘時代、警察官を爆弾で殺してしまった、という過去があったため、警察から疑われてしまいました。しかし、彼はそれらをうまく潜り抜けながら、ヤクザなどと組んで、真犯人を探していきます・・・

  読み始めた時は、あまり面白くないなぁ、と感じていました。僕は、基本的にハードボイルド小説というのが好きになれないのです。一般的に世間からはくだらないと言われている男が、実は誰よりも強くて、人間らしい心を持っていた、というよくある筋書きにちょっとうんざりしてしまうからです。

  もともとは登場人物たちの内面描写を行わない、硬い小説をハードボイルドと読んでいたはずではないのかなぁ。それなのに、どうして「見た目はよれよれだけど、実はカッコイイ男が主人公の物語」になってしまったのか。よく分からないです。

  とにかくそういうわけで、最初はあまり物語に入り込めなかったのですが、読み終わった後には、凄いと感じました。謎の部分が面白いし、犯人の冷酷さも非常に印象に残りました。あと回想シーンとして延々と全共闘時代のことが出てくるのですが、そういうふうにして歴史をミステリの中に絡める手腕も見事だと思わされました。

  藤原伊織の出世作にして、江戸川乱歩賞(第41回)と、直木賞(第114回)のW受賞を果たした初めての作品だそうです。W受賞しただけのことはある、かも知れない。


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