自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
イタロ・カルヴィーノの連作短編集。『月の距離』『昼の誕生』『宇宙にしるしを』『ただ一点に』『無色の時代』『終わりのないゲーム』『水に生きる叔父』『いくら賭ける?』『恐龍族』『空間の形』『光と年月』『渦を巻く』収録。
『月の距離』
かつて月は地球の近くにありました。脚立をたてれば届くほどでした。Qfwfqの従弟は月へいき、ミルクを取ってきます。従弟は月を愛していたのです。その従弟を船長夫人は慕っていました。そして、船長婦人をQfwfqは欲していました。彼らの関係どうなるのか・・・
『いくら賭ける?』
Qfwfqは、学部長(k)yKと賭けをしています。二人の存在意義は賭けにあったからです。二人は宇宙、銀河系、地球などをかけの対象にします。
『光と年月』
一億光年彼方にいる何者かがプラカードに「見タゾ!」と書いていました。それを知り、驚き、恐れるのですが。
宇宙を舞台にした、愉快な法螺話。
どのはなしも面白いです。科学的ではなく、空想的なのです。主人公は、Qfwfqなる老人。Qfwfqは宇宙が生まれる前からずーっと生き続けてきたのでそうです。ぶっ飛んでいます。しかし、どことなく滑稽だし、愛敬があるので、すっと受け入れられます。
実験的、前衛的といわれますが、決して難しくはありません(『渦を巻く』は少し難しい気もするけど)。古き者の誇りと、それへの憧憬が感じられます。全体的に抽象的で、摩訶不思議なのですが、それが面白いです。宇宙規模の童話といえるのではないか。イタロ・カルヴィーノらしさが溢れています。
読んだ本
イタロ・カルヴィーノ『レ・コスミコミケ』
読んでいる最中
吉田秋生『海街diary 3 陽のあたる坂道』
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