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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『山谷 やられたらやりかえせ』は、山岡強一の遺稿集。
『山谷 やられたらやりかえせ』

同名の『山谷 やられたらやりかえせ』という映画があります。この遺稿集は、その映画の補強ともいえます。なので、映画を解説しようと思います。

「山谷」というのは、地名です。1984年、そこは日本社会の暗部でした。労務者の使い捨てが日常的に繰り返される、酷い土地だったからです。映画は、その山谷の実態を描き、抑圧者の姿をあぶりだすことを目的としていました。
しかし、それはかなりの危険な行為でした。撮影がどれだけ妨害されたか、ということでもそれがよく分かります。

映画をまず作ろうと考えて行動したのは、佐藤満夫という人でした。彼は全共闘に関わったこともある左翼の闘士だったわけですが、映画の撮影中に暴力団・日本国粋会(右翼)に襲撃されて、刺殺されてしまいます。
それを引き継いだのが山岡強一です。彼は、笹島、寿町、筑豊など全国の寄せ場、ドヤ街を訪ねて撮影を行い、とうとう映画を完成させます。しかし、山岡強一も、暴力団・日本国粋会系金町一家に襲撃され、射殺されてしまいました。

しかし、その意思は受け継がれ、今でもいろんなところで自主上映が行われています(海外でも行われている)。僕は、1度映画を見たことがあります。とても複雑で難しい内容だったんだけど・・・
山谷の問題は、労働の問題だけとはいえないというのがその中心的な考え方だったように感じました。山谷は、被差別部落と接しています。つまり、貧困と差別が分かちがたく結びついているのです。
さらに、明治以後、朝鮮併合、満州侵攻などが行われましたが、その中で山谷などドヤや、いろんな炭鉱には、朝鮮人・中国人の人がたくさん流れ込んできました。多くは、強制的につれてこられたのです。それが、今にまでつらなる在日の問題なわけですが、その背景には、神・天皇を中心とする大日本帝国体制の侵略が存在します。

労務者の使い捨て、大日本帝国の侵略行為、日本に深く根付いている数々の差別(被差別部落に対する差別、在日朝鮮人に対する差別)、それらは全て結びついている、というのが映画の主張です。

現在、派遣・請負の登場によって、日本は、全国が「山谷化」したとよくいわれます。労働者は消え、みな労務者と化した、というわけです。確かにそうかも知れない。しかも侵略戦争の肯定、日本の軍事強化がすすんでいるし。状況は悪化しているかもしれない。読んでみるといろんなことを考えさせられます。


今日読んだ本
山岡強一『山谷 やられたらやりかえせ』

今読んでいる作品
ヘミングウェイ『老人と海』
松本清張『支払いすぎた縁談』
松本清張『氷雨』
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