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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  伊坂幸太郎
出版社: 講談社

  ある日、サラリーマンの安藤は、「腹話術」という不思議な能力を手に入れます。自分の思ったことを他人に喋らせる力です。

  彼は、その力を用いてムッソリーニ(第二次世界大戦前、イタリアに独裁政権を築いた人)を彷彿させる犬養という政治家と闘おうとします。犬養は、「自分が首相になったら景気を5年で立ち直らせる、できなかったら私の首を切れ」と言い切ります。そして、もう1度国民が憲法を選びなおし、アメリカや中国などの国々としっかり対峙すべきだ、とも訴えます。その危険を顧みない勇気と力強さに多くの人は期待を寄せ熱狂的に支持しますが、安藤は不安を覚えていました。誰もが流れに乗って犬養を支持するこの状況は、ファシズム(全体主義)の再来ではないのか・・・?

  読み終わってみてなんだろう、と思いました。肩透かしをくらった感じかなぁ・・・ 物語としては面白いんだけど。なんといって良いのか分からない。本が出版された当時(2005年)はけっこう話題になったそうです。その頃はまだ、「力強い」指導者、小泉首相が健在だったから、そういう政治との関係で話題になったのです。

  著者自身が明言しているように、平和主義・憲法9条のことなどが主題ではないようです。多分、今の日本、もしくは今の世界において、「物事を考える」という行為は、難しいことだと書きたいのかなぁ、と僕は感じました。「私たちは、見えない「何者か」に用意された時代の潮流に乗せられているだけではないのか?」というメッセージと言い換えても良いかも知れない。

  難しいです。もしかして作者は単に「ファシズム VS 超能力者」の物語を書いたつもりで、それを僕がいろいろ勘ぐっているだけなのかもなぁ・・・

  2006年第3回本屋大賞ノミネート作(11位)。


自森人読書 魔王
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