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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  奥泉光
出版社: 集英社

  ジャズピアニスト・池永希梨子(通称フォギー)は、柱の陰にいる人に向かって音楽を届けることをいつも気にかけていました。不振が続いていたある日、本当に柱の陰に黒づくめの女性がいるような気がしてとても良い演奏ができました。彼女は、その後外出し、外でその女性と邂逅します。彼女は「ピュタゴラスの天体云々」といった謎の言葉を残して消えました。やがて、夏になり、フォギーは故郷へ帰ります。そして突如として1944年敗戦間近のドイツへタイムスリップしてしまい・・・

  SFのようなファンタジーのような作品。

  二段組みで490ページもあります。しかも、イントロダクションだけで100ページ。たたでさえ長大なのに、その上奥泉光の古風ないかにも純文学作家っぽい長い文章につっかえてしまい、中盤までは読み進めるのが辛かったです。根気が要るからです。しかし、いろいろな謎が絡み合ってくるとともに面白くなってきました。

  笑える部分が随所に挟まれているのは、楽しかったです。

  たとえば、「武富士」のポケットティシュが思わぬ疑惑を呼ぶところなどは爆笑。まぁそもそも主人公のフォギーも、その友達の佐知子さんもとにかく面白い人なので、おかしいのは当然か(多分、作者奥泉光も面白い人なのだろう、と思います。作中で自著『『吾輩は猫である』殺人事件』の宣伝までしてしまうのだから・・・)。

  しかし最高におかしいのは脇岡氏。歌手なのにリズム感覚に欠け、みんなから疎まれているのにやたらとつらつらと喋り続ける無神経の塊なのだけど、どこか憎めない彼の面白さは格別。そして、最後のもの悲しさも格別。呆れてしまうけど、憎めない人だなぁ、と思いました。


自森人読書 鳥類学者のファンタジア
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