自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
「自伝的エッセー」と銘打ってありますが『水源をめざして』を読むと確かに遠山啓という人のことが、なんとなく見えてきます。結構、遠山啓は直観に頼って大胆なことも書いています。だから逆に面白いです。遠山啓の文章は単なる思い付きではなく、広範の知識に支えられています。遠山啓の博識がよくわかります。
多くの事物を扱っているのに文章は極めて平易です。意味を汲み取ることができない文章やゴマカシはありません。
「読書の七癖」という章がとくに面白いです。いろんな本が紹介されています。自著『無限と連続』を書きなおすべきか、なおさざるべきか、という話から始まり、次に来るのは竹内好『中国を知るために』。漢文が「軟体動物のようにとらえどころのない純日本式の文章に、論的な骨格をあたえてくれた」のではないか、と指摘します。
それから、ユークリッドの『原論』などが紹介されています。『原論』の反対が、デカルトの『幾何学』なのだそうです。そうだったのか・・・
そういえば、「敗戦は私の精神の深部にはほとんど影響をおよぼさなかったように思う」と遠山啓は記しています。遠山啓は特異な人間だったようです。
読んだ本
遠山啓『水源をめざして』
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