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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  辺見庸
出版社: 文藝春秋

  『自動起床装置』
  眠りというものと真摯に向き合う「起こし屋」聡。ぼくは彼に触発され、仮眠室に眠る男達をうまく目覚めへと導くべく努力していました。ですが、昼間の毒気を吐き出すように眠る人たちと向き合う日々が終わる可能性がでてきました。自動起床装置の試験導入が決定したからです。聡は、「睡眠と覚醒」の過程に機械を持ち込むことに対して怒るのですが・・・

  『迷い旅』
  私はカンボジアの戦場を旅していきます。何度も引き返そうとするのだけど、なぜかうまくいきません。そうしてたどり着いた先には・・・ ほぼエッセイに近いもの。

  『自動起床装置』は芥川賞受賞作。

  機械化があらゆるところに忍び込み、自然な感覚を破壊しているという主張はまぁありきたりなのだけど、「眠り」を用いてその主張を掘り下げていくところが面白い、と感じました。けっこう深いものがあります。主人公の考えが曖昧なところも良いです。作者の主張を主人公が代弁してしまうようになっていたら、ちょっとなぁと思ったかも知れないけど、そういうふうな構造にはなっていません。不思議な雰囲気を持っている聡が語るからこそ、良いと感じます。

  芥川賞を受賞していますが、辺見庸はもともとジャーナリストだそうです。今では、反米主義、反右傾化を公言し、活動しています。力強いと感じます。その力強さは、フィクションとノンフィクションを渡り歩いたからこそ生まれたものなのかもしれない。


自森人読書 自動起床装置
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