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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  白土三平
出版社: 小学館

  江戸時代、士農工商のさらに下に位置づけられていた穢多非人たち。その1人にカムイがいました。カムイは、非人という立場を抜け出して、自由になろうと目指します。また、農民の正助や、武士の竜之進らはそれぞれ、体制の矛盾に気付き、改善しようと考えます。しかし、そう簡単にはいかない、それどころか徹底的な弾圧を受けます。上の者が下の者を差別し、下の者がさらに下の者を差別し、さらに下の者は、互いに監視しあう。その差別の連鎖から抜け出すことはとてつもなく難しいことでした・・・

  最後がどうなるのか、気になりながら読んでいました。だって史実通りにいくならば、250年間江戸幕府は安泰です。叛乱が起きることはあってもすぐ潰されるし、革命が起きることはありません。とすると、カムイたちはどう考えても幕府に勝てない、ということが物語が始まる前から決定していることになります。

  でもそれじゃつまらない。どうなるのだろう、と思っていたら・・・ 物語は進めば進むほど暗くて、救いがなくなっていく・・・ 少し光が見えたかと思ったら、次にはさらに悲惨な出来事が起こり・・ 先駆者は誰にも理解されず、潰されていくということじゃないか、という感じがしてきます(そんな単純じゃないけど)。第一部が終わった結論は、カムイたちにはほとんど救いが無いということかなぁ。

  勝つことが重要じゃない、闘争を続けることに意味があるんだ、というならはなしは別だけど。でも結局殺されると分かって戦うというのほど辛いことはないよなぁ。

  そういえば、カムイというのは何か、というと・・・ カムイというのは主人公の名前でもあり、狼の名前でもあります(アイヌ語の「神」という言葉らしい)。『カムイ伝』では各所に動物たちの争いがさしはさまれています。よくあれだけうまく描けるなぁ、と感心します。動物を描くのもそうだけど、あれだけたくさんの人間の顔をかき分けるのも大変だろうなぁ・・・

  ぼくは長いマンガはたいてい飽きてしまうのですが、この『カムイ伝』は違いました。まだ、『カムイ伝』は完結していません。やっと第二部が終わり、これから第三部が始まるところです。まだまだ全然見えていないことが多い気がします。作者・白土三平がすでに40年にわたって描き続けてきたストーリー。完結するところが見たいです。


自森人読書 カムイ伝 第一部
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