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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  酒見賢一
出版社: 新潮社

  中国の春秋戦国時代、兼愛・非戦などの思想を唱え、一大勢力を築いた墨子教団。しかし、どのような組織も必ず衰えるものです。墨子教団は、田襄子(3代目)という人物がリーダーとなってから、じょじょに腐敗していきます。そんな中、教団の俊英・革離は、墨子本来の教えを実現するために活動。小国の梁国国王、梁溪に頼まれて大国・趙を追い返すべく、ただ1人梁城に赴くことになります。革離は、城をまとめ上げて徹底的に防御を固めました。さて革離は、圧倒的な趙軍を撃退できるのか・・・

  歴史小説。

  薄い本です。しかし、文章は硬質で中身はぎっちり。読みごたえがあります。まずはなんといっても、主人公・革離の八面六臂の活躍に感動させられます。そして、革離が実現しようとする墨子の思想は、考えさせられます。

  「侵略戦争の廃絶」というのは、今でも実現していないことです。「防衛」と「侵略」との間に、線を引くことが難しいからです。墨子は、侵略戦争を実力によって阻止しようとしました。ようするに、「一方的に攻め込まれている弱い側につき、強い側を挫く」ということを行ったのです。史書には、それが成功したと書かれています。非常に興味深いことです。

  でも、僕は「どの陣営にも属さない第三勢力が強大な軍事力を持つことで、戦争の抑止を目指す」という墨子の思想は、空想でしかないと感じました。一時成功したとしても、それをシステム化して何十年にも渡って稼働させるのは不可能ではないか。日本の娯楽作品には頻出します。たとえば、かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』や、『機動戦士ガンダムSEED』など。しかし、本当に実現したというはなしは聞いたことがありません。というか、何をもって公平となすのか分からない。

  事実、墨子教団も戦国時代の終わりごろになって歴史上から忽然と姿を消しました。作者・酒見賢一は「のちに中央集権型の大帝国を築く、秦に合流した(もしくは呑み込まれた)のでは?」と推測しています。弱者を慮ることを第一としたはずの墨子教団が強者に呑みこまれたのか・・・

  漫画化、日韓合同による映画化も行われているそうです。


自森人読書 墨攻
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