自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
若き皇太子ハインリヒは律儀で頑固な宮廷の人間たちに囲まれて育ちます。唯一の救いは家庭教師のユットナー博士だけでした。彼は独特の寛大さを持ち合わせた人だったからです。とはいえ、厳しく全てが定められた生活は続きました。ですが、青年になったハインリヒはとうとう1年の間、風光明媚なハイデルベルクへと赴くこととなります。そして、そこで溌剌とした少女ケーティや多くの大学生たちと出会い、ともに大学生活を謳歌するのですが・・・
戯曲。
物語自体は、単純で平凡でありきたりです。「高貴なる王子さまと身分の低い可憐な娘が惹かれあい、結局のところ結ばれない」というただそれだけの物語なのです。しかし、心をくすぐられました。
青春というものを描いた作品ではあるのだけど、青春時代のエピソードはそれほど多くはありません。詳しいことが書かれていないためにむしろ想像の幅が広がります。巧みな演出だなぁと思いました。
ユットナー博士と内侍ルッツの掛け合いが面白いです。若者の文化に理解を示し、むしろそれを受け入れる寛大な自由人ユットナー博士と頑固に宮廷のしきたりを守ろうとするルッツの間には深い溝があるわけですが、2人ともハインリヒのためを思って行動しているという点は共通しています。なのに食い違い、言葉の喧嘩を繰り返すのですが、そのやりとりが愉快です。
徹底的に頑固な男ルッツが、最後の辺りで大学生たちから敬遠されて沈み込むハインリヒに理解を示し、騒がない大学生どもに文句を言うのですが、その場面はぐっときます。偏狭な人なのだけど、ハインリヒのためを思っているということは揺るがないのです。
今日読んだ本
マイヤー・フェルスター『アルト=ハイデルベルク』
今読んでいる本
スタニスワフ・レム『ソラリス』
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