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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『棒になった男』は、安部公房の戯曲。
短編小説『棒』の戯曲版なんだそうです。3つの不可思議なエピソードで構成されています。
1つ目のエピソードには、女と友人の客と、そして鞄(戯曲では、その鞄を男の人が演じる)が登場します。女は、彼氏からある鞄を預かっていました。鞄の中には「先祖」がいるらしいのですが、中からはなんだか変な音が聞こえてきて気持ち悪い。
女は気味悪がって開けようかどうしようか、客に相談するのですが・・・

2つ目のエピソードには、落ちぶれかけたボクサーが登場します。彼は、これまでそれなりに闘ってきたわけですが、この頃は負け続け、どんどんとランクが落ちています。そして、今度の試合で負けたら、もうおしまい、というところまできていました。
最後、ボクサーは相手に倒されて立ち上がろうと思いながら、もう負けを覚悟しています・・・

3つ目のエピソードは、棒になってしまった男の物語。
若いフーテン風の男女がいるところに、いきなり棒が落ちてきます。それは、死んだ途端、なぜか棒になってしまった男でした。「地獄の男女」たちがそれを確認して、回収しようと、そこへ現れるのですが・・・

フーテン風の女が、立ち去るときにきどって「断絶の時代なのよ」と言うところが印象的です。

人と物との間に、隔たりをなくしてしまって、逆に人と人との隔たりを明らかにする、みたいな感じでとても面白いなぁと感じました。この、不可解さが良いなぁ・・・


『榎本武揚』も、安部公房の戯曲。
榎本武揚は、幕末に海軍副総裁に就任。幕府海軍を率いた人物です。幕府軍が陸上で鳥羽・伏見の戦いに敗れると、敗残兵を載せて北海道の五稜郭へ行き、共和国建国を目指しましたが、最終的に新政府軍に敗北して降伏。その後、牢獄にいれられます。しかし、出所後は新政府の中核にあって政治家として活躍しました。

安部公房はそれらを振り返っていき、問います。実は、土方歳三とかそういう血気にはやるやつらを北海道に隔離するつもりだったのでは・・・? ほんとに「最後の幕臣」だったのか。ほんとに「最終的な裏切り者」だったのか。実は確信犯的な策謀だったのではないか。

変節漢として蔑まれることも多い「榎本武揚」という男を、戯曲の中で再評価しています。凄く面白いです。歴史にはいろんな見方がある、というのがよく分かります。安部公房にしてはとても分かりやすいし。


今日読んだ本
安部公房『棒になった男』
安部公房『榎本武揚』


今読んでいる作品
鯨統一郎『新・世界の七不思議』
森村誠一『悪魔の飽食』
山田風太郎『黒衣の聖母』
土屋隆夫『絆』
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