自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
あなたの旅行記。『第1輪 パリへ』『第2輪 グラーツへ』『第3輪 ザグレブへ『第4輪 ベオグラードへ』『第5輪 北京へ』『第6輪 イルクーツクへ』『第7輪 ハバロフスクへ』『第8輪 ウィーンへ』『第9輪 バーゼルへ』『第10輪 ハンブルグへ』『第11輪 アムステルダムへ』『第12輪 ボンベイへ』『第13輪 どこでもない町へ』。
最初は、ある程度普通っぽいのですが、じょじょに幻想的な雰囲気になってきます。夢が入り混じってくるような感じ。
けど、ホラーというわけではありません。全体的には静かな雰囲気が漂っているし、とぼけた味わいがあります。明確な目的もなく、ただ夜行列車に乗るあなた。日常と非日常の狭間を揺れるあなたはいったいどこへ向かおうとしているのか。
夜行列車での旅を、人生の比喩と捉えるのはたぶん陳腐すぎる、とは思いますが、やっぱり人生に似ているような気がしました。『容疑者の夜行列車』を読んでいると、目的のない模糊とした旅を楽しめます。
第38回谷崎潤一郎賞、第14回伊藤整文学賞受賞作。
今日読んだ本
多和田葉子『容疑者の夜行列車』
今読んでいる本
柳広司『漱石先生の事件簿―猫の巻』
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