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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  津原泰水
出版社: 集英社

  津原泰水の連作短編集。『反曲隧道』『蘆屋家の崩壊』『猫背の女』『カルキノス』『ケルベロス』『埋葬虫』『水牛群』収録。

  30になってもぶらぶらしている俺と、伯爵と呼ばれている怪奇小説作家の物語。毎度、彼らが不思議な事態と遭遇します。

  タイトルは、『アッシャー家の崩壊』のパロディみたいだけど、オマージュというわけではないです。ミステリのような、ホラーのような、ファンタジーのような、SFのような短編が集められています。日常の中に忍び込んでくる怪奇を上手に描き出しています。まず最初にある『反曲隧道』が良いです。いかにもこれから幻想の世界にお連れしますよ、という雰囲気で。

  しかも、その雰囲気が壊れることなく、最後までしっかりと保たれています。作品は各々違った色合いなのに、全体としても統一性があるのは凄いです。

  『埋葬虫』が一番怖いです。
  猿渡は学生時代の旧友と再会し、年代もののカメラを借りるのですが、その時森の写真を撮ってきて欲しいと頼まれます。そのカメラは、旧友のものではなく、彼の会社の後輩のものでした。彼とその後輩は、ともにマダガスカルへ行ったのですが、後輩は虫を食ったために体を虫に乗っ取られ、もう長くなくて、森の写真を見たいというのが末期の頼みだったのです・・・

  ぞくっとするし、古事記やおとぎ話などを下敷きにしている部分はとくに楽しいです。


自森人読書 蘆屋家の崩壊
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