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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  薬丸岳
出版社: 講談社

  主人公は桧山貴志という男。彼は、保育園に通う娘と2人を育てながら日々を過ごしていました。しかし、そこへ突如警察が現れ、貴志がある殺人事件の容疑者となっていると仄めかします。殺されたのは沢村和也。かつて貴志の妻を殺しておきながら、まだ13歳だったがために非行として処理され、裁かれなかった少年でした。桧山貴志は自分が殺したわけではないのに疑われたため、何が起きたのか自分で調べようとします。すると・・・

  第51回江戸川乱歩賞受賞作。つまり著者のデビュー作。

  社会派ミステリに分類されるような作品。

  ものすごく重苦しい空気を発しながら、少年法の問題点について追求していきます。そこらへんの生真面目さは非常に良かったです。とても考えさせられました。なんでも良いからとにかく裁けという主張には違和感を覚えるけど、少年が人を殺しても非行として処理されることに違和感を覚える被害者・桧山貴志の考え方にも一理あるかも知れない。

  けど厳罰化すれば良い、というわけでもないと思います。本来、刑罰と言うのは被害者の個人的な報復の意思を満足させるためだけのものではないはずです。加害者に反省を促したり、事件の再発を防いだり、そういう側面もあります。だから「少年犯罪が激化しているから、それを抑止するために厳罰を加えよう」というふうになるわけです。でも少年犯罪は年々減っています。だから、刑罰の強化を目指す人たちの主張は支離滅裂といえます。被害者の声だけに耳を傾けてはいけないのではないか。

  『天使のナイフ』は、全体としての完成度が高かったです。ただし、だからといって面白いとは限らないわけで。物語の展開が少し御都合主義的ではないか、と感じました。もうどこもかしこも犯罪だらけ。登場人物のほとんど全員がなんらかの犯罪の被害者か、もしくは加害者というような状況です。終盤に入るとドミノ倒しみたいになっていきます。


自森人読書 天使のナイフ
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