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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  舞城王太郎
出版社: 講談社

  アメリカサンディエゴで活躍していた救命外科医・奈津川四郎のもとに凶報が舞い込みます。母が、連続主婦殴打生き埋め事件に巻き込まれ、昏睡状態に陥ってしまったというのです。四郎は故郷西暁町へ帰り、犯人を探し出してぶっ潰すべく駆けずり回ることになります。彼は事件を解決できるのか・・・? 血と暴力に彩られた壮絶な小説。

  血塗られた奈津川家の物語。テーマは家族愛、なのだろうか。

  舞城王太郎の特長は、まず文体。読点句点が削られています。そして、英文はカタカナで表記されています。とにかく混沌としていて、暴走しまくりです。だから、読みにくいはずなのですが、テンポは良くてぐいぐいと引っ張られます。

  探偵やら暗号やらがでてくるので、一応装いはミステリっぽいなのですが、ミステリ小説としての枠組みを破壊しかねない勢いがあります。謎解きはほとんどこじつけに近いし、そもそも扱われている事件だって奇怪過ぎて阿呆らしいです。ミステリとして読むのが間違いなのではないか。

  何もかもがぶっ壊れた世界の中でも消えない、家族というもののつながりを感じる小説なのかも知れません。しかし、愛とは残酷なものではないか、とも感じます。人を救うのも壊すのも愛か。

  暴力が満ちている割には、テーマ自体は恥ずかしいほど真直ぐ。受け付けない人は絶対に受け付けないだろう作風。でも、僕は凄いや、と感じました。傑作ではないかと感じます。

  第19回メフィスト賞受賞作。


自森人読書 煙か土か食い物Smoke, Soil or Sacrifices
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