自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
夕焼け空の下、二人の詩人が対立します。ルシアン・グレゴリーは無政府主義者を名乗り、詩人とは無政府主義者であるといいます。一方サイムはそれに対して反駁し、秩序こそが大切なのだといいます。グレゴリーは、サイムをある場所へ連れていきます。そこは、無政府主義者を統括する評議会が開催される場所でした。これから、グレゴリーが次の「木曜」に選ばれる予定だったのですが・・・
奇想と逆説と警句に満ちた長編小説。
何もかもが、畳み掛けるようにひっくり返っていくので、主人公サイムと一緒になって惑わされることになります。くらくらします。幻想的なサスペンスのよう。しかし、サスペンスというよりは、世界についての壮大な小説といったほうが適当なのかも知れません。
一つ一つの場面が面白いし、全体的に愉快です。屁理屈といわれてもおかしくないような論理をいろんな人が持ち出し、論争が巻き起こります。そして、奇怪な論理でもって物語は目まぐるしく展開されてきます。とくに、日曜の正体が明らかになるラストの場面は圧巻。滑稽なのに、荘厳たる雰囲気が漂っています。それでは委員会の者たちはみな使徒だったということなのだろうか・・・
チェスタトンの小説には、吉田健一の訳が妙に合っています。日本語としてはごつごつとしているし、曲がりくねっているから追っていくのが大変なのだけど、それが面白いです。とくに警句がそれぞれ意味深いです。二度読まないと理解できないほど、日本語っぽくないです。
『木曜の男』という小説はあっという間に、なぜかねじれ、逆転していくのですが、現実だって同じようなものかも知れないとも感じました。9.11テロのとき、ツインタワーが崩れ、それに怒ったアメリカが「対テロ戦争」という名目でアフガニスタン・イラクに爆弾を投下しましたが、結果として殺されたのは、関係ない大勢の市民ばかりなのだから。
読んだ本
G・K・チェスタトン『木曜の男』
読んでいる最中
レイ・ブラッドベリ『塵よりよみがえり』
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