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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  森見登美彦
出版社: 幻冬舎

  『有頂天家族』は、糺の森に暮らす狸の名門・下鴨家の物語。

  狸界を束ねてきた下鴨家当主・総一郎は鍋にされ、突如として世を去ります。涙に暮れていた一家ですが、母は息子達を立派な狸と信じて励まします。ですが、下鴨家の兄弟は頼りない・・・ 長男・矢一郎は真面目ながら土壇場で力を発揮できません。次男・矢二郎は蛙に化け、井戸に引きこもったまま。三男・矢三郎はどうしようもないおっちょこちょい。末弟・矢四郎は化けるのも上手く出来ません。そこへ、つけ込もうと現れる夷川家の狸阿呆兄弟・金閣銀閣。

  さらに、その狸界に人間世界が交わります。人間に恋をしたたために能力を失った天狗・赤玉先生や、天狗さえ思いのままに放り出し、総一郎を食ってしまった美女・弁天が登場。京都を舞台にして、狸、人間、天狗が入り乱れた大乱戦が始まります・・・

  もう面白すぎです。とくに化かし合いが最高に面白いです。

  筆致は飄々として、それでいてやっぱり捻じ曲がっています。最初は登場人物紹介などもあるのでそこまでではないのですが、進むに連れてスピードが増していきます。一体全体どこへ行くんだーと追いかけていくと、どこまでも突っ走っていってもう止まらない。

  ほのぼのとした部分、ぐっとくる部分、バカバカしい部分、ドキッとさせられる部分いろいろあります。とくに、どことなくダメな下鴨兄弟たち同士のつながりが良いです。今回はダメな大学生の恋愛ではなく、家族愛がテーマみたいです。だから、今までの作品が好きになれなかったという人にもおすすめ。

  2008年第5回本屋大賞ノミネート作(3位)。


自森人読書 有頂天家族
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